湯島天神と湯島天満宮の違い|2000年の改称と2柱の祭神
「湯島天神」と「湯島天満宮」。同じ神社を指す二つの呼び名を、案内やウェブで見かけます。どちらが正しい呼び方なのか。別の神社があるのか。この問いから、湯島のまちと神社との関わりが少しずつ見えてきます。この記事では、名称が二つある理由、改称の年月、祀られている二柱の神様、そして「天神」と「天満宮」という言葉そのものの違いを、公式案内で確かめられた範囲で整理します。

湯島天神と湯島天満宮は、同じ神社の違う呼び方
結論から書きます。「湯島天神」と「湯島天満宮」は、湯島天満宮公式サイトのタイトルに「湯島天満宮(湯島天神)」と並記されている通り、文京区湯島三丁目にある同じ神社を指します。別の神社ではありません。
現在の正式名称は「湯島天満宮」
現在の正式な名乗りは「湯島天満宮」です。神社の公式サイトも「湯島天満宮」を社号として用い、ご祭神・菅原道真公をお祀りする神社として案内しています(出典:湯島天満宮「由緒・歴史」)。
通称として今も使われる「湯島天神」
一方で「湯島天神」という呼び方は、改称後の現在も通称として広く使われています。公式サイトのタイトル自体が「湯島天満宮(湯島天神)」と並記しており、両方の呼び方が併存していることが分かります。
2000年に「湯島神社」から「湯島天満宮」へ改称した
名称が複数ある理由の一つは、神社そのものの名乗りが近年に変わっているからです。日付と旧社号を押さえておきます。
平成12年(2000年)3月31日の改称
湯島天満宮の参集殿が公開する「湯島天満宮と湯島天神、どちらが正しいの?」には、「2000年3月31日に『湯島神社』から『湯島天満宮』に改称されましたので、現在は『湯島天満宮』が正しいのですが、通称として『湯島天神』も使われています」と書かれています。2000年は平成12年にあたります。
改称前は「湯島神社」だった
改称前の社号は「湯島神社」でした。古い案内板・古い書籍・古い地図に「湯島神社」と書かれているものがあれば、それは改称前の名称のまま残っているということになります。「湯島神社」と「湯島天満宮」は別の神社ではなく、同じ神社の過去と現在の名乗りです。
二柱の祭神——天之手力雄命と菅原道真
もう一つ、湯島の神社の呼び名に揺れがあるのは、祀られている神様が複数いるためです。創建の時代の神様と、のちに勧請された菅原道真公の関係を順にたどります。
湯島天満宮の社号と祭神にまつわる年表
- 雄略天皇2年(458年)勅命により創建され、天之手力雄命を奉祀したと伝えられる。
- 正平10年(1355年)郷民の願いにより菅原道真公を合祀する。
- 文明10年(1478年)太田道灌により再建される。
- 天正18年(1590年)徳川家康公の江戸入府に伴い、朱印地(5石)を賜る。
- 平成12年(2000年)3月31日社号を「湯島神社」から「湯島天満宮」へ改称。
創建は雄略天皇2年(458年)、天之手力雄命を祀る
湯島天満宮の由緒・歴史によれば、当宮は「雄略天皇2年(458年)1月、天皇の勅命により創建されたと伝えられています」。当初のご祭神は天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)でした。
正平10年(1355年)に菅原道真公を勧請し合祀
同じく由緒・歴史には、「正平10年(1355年)2月、郷民の願いにより菅原道真公を合祀して以来、学問の神様として親しまれるようになりました」とあります。この時点で、湯島の神社には天之手力雄命と菅原道真公の二柱の神様が祀られることになりました。現在のご祭神も、公式サイトに天之手力雄命と菅原道真公の二柱と記されています。
「天神」と「天満宮」という社号そのものの違い
湯島に限らず、全国に「天神」と「天満宮」の両方で呼ばれる神社があります。この二つの言葉を社号の仕組みから見ておきます。
菅原道真公を祀る神社の総称としての「天神」
「天神」について、湯島天満宮の由緒・歴史ページは「本来は、天神とは地神(くにつかみ)に対する『あまつかみ』で、特定の神さまをさすものではありませんでした」としたうえで、菅原道真公が「天満大自在天神」の神号を賜ったことなどにより、「菅公の神霊への信仰を、『天神信仰』と一般的に呼ぶようになりました」と説明しています(出典:湯島天満宮「由緒・歴史」(天神信仰))。
社号として用いられる「天満宮」
一方、「天満宮」は、道真公を祀る神社の社号として用いられる固有の名乗りです。湯島の神社は平成12年の改称で、社号を「湯島天満宮」としました。つまり「湯島天神」は親しみを込めた通称、「湯島天満宮」は現在の正式な社号——という関係です。
湯島のまちと神社の歩み、呼び名の背景
最後に、湯島のまちと神社との関わりを、文献で裏が取れる範囲でたどります。
「湯島天満宮」「湯島天神」「湯島神社」——3つの名称の位置づけ
| 名称 | 位置づけ | 主に使われる時期・場面 |
|---|---|---|
| 湯島天満宮 | 現在の正式な社号 | 平成12年(2000年)3月31日〜現在。公式サイト・社号標・正式文書 |
| 湯島天神 | 通称(親しまれる呼び名) | 現在も併用。地元の会話・古くからの案内・公式サイトのタイトル併記 |
| 湯島神社 | 旧称(改称前の社号) | 〜平成12年(2000年)3月30日まで。改称前の文献や古い案内板に残る |
太田道灌の再建、徳川家康の朱印地、綱吉の崇敬
由緒・歴史には続けて、「文明10年(1478年)には太田道灌により再建され、天正18年(1590年)には徳川家康公から朱印地を賜りました」とあり、5代将軍・徳川綱吉公などの崇敬も篤く、大いに栄えたと記されています。江戸期を通じて湯島のまちと深く結び付いてきた神社であることが、こうした記録からも読み取れます。

湯島のまちで呼び慣わされてきた「湯島天神」
社号そのものが変わったあとも「湯島天神」という呼び方は残っています。改称から四半世紀ほどが経ちますが、公式サイトも「湯島天満宮(湯島天神)」と並べて記し、通称を切り離さずに併記しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 湯島天神と湯島天満宮はどちらが正しい呼び方ですか。 A. どちらも同じ神社を指しますが、現在の正式名称は「湯島天満宮」です。平成12年(2000年)3月31日に、それまでの「湯島神社」から「湯島天満宮」へ改称されました。「湯島天神」は通称として今も広く使われています。
Q. 湯島天満宮の御祭神は誰ですか。 A. 現在の御祭神は、天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)と菅原道真公の二柱です。元々は雄略天皇2年(458年)の勅命により天之手力雄命を祀って創建され、南北朝時代の正平10年(1355年)に菅原道真公が勧請・合祀されたと伝えられています。
Q. 湯島神社と湯島天満宮は別の神社ですか。 A. 別の神社ではありません。「湯島神社」は改称前の旧称で、平成12年(2000年)3月31日に「湯島天満宮」へ改められました。古い案内板や文献に「湯島神社」と書かれているのは、改称前の名称がそのまま残っているためです。
Q. 「湯島天満宮」と「湯島天神」はどう使い分けたらよいですか。 A. 正式な文書や神社の社号として書くときは「湯島天満宮」が適しています。地元の会話や親しみを込めた呼び方としては「湯島天神」が今も広く使われており、公式サイト自身も「湯島天満宮(湯島天神)」と並記しています。どちらを使っても同じ神社を指すことに変わりはありません。
出典・参考
湯島のまちでは、同じ神社を「天満宮」「天神」と呼び分けながら、長く暮らしと商いを重ねてきました。湯島で働く人の仕事ぶりは、経営者インタビューでも紹介しています。


